#1 ようこそ「フーモ」へ

ヴォルカニーカ!この音声を拾ったってことは、この地に訪れるのは初めてかな。俺が代表して言うのもなんだけどようこそ「フーモ」へ。


じゃあ今回のテーマは、「3分でわかるフーモ!」なんてどうだろう。即席食料ができあがるまでのお供にしてやってよ。あまり構えず適当に聞き流してね。


まず、俺たちが生活を営むこの世界こそが「フーモ」。「フーモ」は以下の6地域に分かれている。

 ・風宿る「ヴェルタ」:最も広く最も歴史深い。鉄道を通じて他地域との交流が盛ん。

 ・風薫る「ヨルモトラム」:日々先端技術が開発されるトレンドの発祥地。

 ・風誘う「スニ」:原住民ジュオ族が暮らす、エネルギー資源 灰炭 の採掘地。

 ・風惑う「ノーゼン」:北端に位置する極寒の地。明らかに人間より煙人の方が数が多い。

 ・風唸る「ゴヨージ」:暑い。フーモを照らすヒノヒカリシステムを所持・運営している。

 ・風淀む「アゲト」:流れ者の地。各地域に居られなくなった人々が身を隠す場所。



そうだ、ここに来るまでに目玉と口のついた動く煙を見なかった?あいつらは「煙人」っていうんだ。俺たち人間は寿命を迎えると煙に還る。この現象を「煙る」というが…これも君にとっては馴染みない言葉なのかな。「フーモ」では、心残りあるまま「煙る」と「煙人」になるんだ。体は「蜃気楼閣」に送られ、心残りを解消するまで「煙人」として第二の人生を歩むことになる。時折、拠点である「蜃気楼閣」を抜け出して人間の前に顔を出すのは、人間とのつながりによる心残りを解消するためだとされている。「煙人」は心残りを解消すると、自然に煙に還るんだ。

人間と「煙人」は別世界の存在。極力交わっちゃいけないと俺は思ってる。まぁ、ここら辺の考え方は人それぞれだから、強要はしないよ。



さて、これからフーモで生きていくのなら、覚えておきたい単語を教えておこう。4つ。多い?即席食料が伸びちゃった!?ごめんね、じゃあ後で伸びた即席食料のおいしい食べ方も教えてあげる。これは君の身のためでもあるんだ。なにより、君が煙人になったら俺の話も聞いてもらえなくなっちゃうからね。

「煙  人」:えんじん。さっきも説明した通り、蜃気楼閣の住民だ。核を中心に体はたゆたう煙で形成されている。サイズや形を含め、その姿は多種多様。目立った特徴のある煙人は名前がつけられて観察が行われている。言葉を持たないから、俺たち人間が意思疎通することは困難。大半は友好的だけど、進んで近づくことはオススメできない。触らぬなんちゃらに祟りなしってあるし。

「黒核煙人」:普通煙人は心残りを解消したら自然に煙に還る。だが、遺恨抱いて煙った人間は黒核煙人となり、感情のまま暴れ回るんだ。心残りなんてすっぽかして、ぼんやり記憶の奥底にあった人間から煙らせようとしてくる。思い出せないのは苦しいから、何もかもなかったことにしたいんだろうな。どす黒い核と濁った煙が特徴。風通しの悪い場所を好んで潜む。見かけたらすぐ離れること。

「蜃気楼閣」:煙人の住処。蜃気楼のように現れては消える神出鬼没の巨大建築物。各地域における目撃証言から推測すると30棟は超えるとされる。その重力を無視した造形は、人間が持ちうる現在の技術力では再現不可能。煙人の能力の高さがうかがえる。つまり蜃気楼閣は、古の民の遺産の宝庫とも呼べるね。ただ、人間は許可なく立ち入り禁止となっている。

「蜃気楼閣管理局」:通称管理局。蜃気楼閣から得られる技術を適切に管理している。また、人間の生活を煙人から守る組織でもある。各地域に点在してるから、煙人に襲われたら迷わず近くの管理局に駆け込もう。局員たちは煙人が人間の居住地に侵入する前に、煙人の煙をあおいで核を傷つける事なく立ち退かせてくれている。煙人は核がある限り、長い時間をかけて煙を集め何度でも復活できる。なんで核は壊さないんだぁというと煙人は元人間だから。倫理的な理由から人間の手による消滅を禁止されているんだ。フーモの法でそう定められているんだと。


ここまで、お疲れさまでした。これで君は立派なフーモの民になれたってこった!俺が保証するよ。次回はフーモを取り巻くインフラについて触れていこうかな。それじゃまた。

フーモ渡る風

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